女性「9条の会」ニュース19号 2011年10月号

特集  第5回 九条の会全国交流集会 「女性の会」分科会 報告

 1面  平和祈念館のない東京   本尾 良(女性「九条の会」呼びかけ人)

 十二月二日の夜に行われた「東京都平和祈念館(仮称)建設をすすめる会」の十一周年のつどいには、これまでになく寒い夜ながら、会場の豊島公会堂区民センターの文化ホールには、参加者の熱い思いがみなぎっていました。「会」はメゾソプラノ歌手、陳㬢(チェン・シー)さんの歌から始められました。「この道」から「鳥の歌」(カタロニア民謡)に終わるまで、歌声とともに優しく美しい容姿に魅せられつつ、日中間の歴史の変遷に思いを深くしました。
 続いて「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマへ被曝医師が語る内部被曝の脅威」と題して、医師肥田舜太郎さんから広島原爆の体験と福島原発事故の実相を伺いました。次に「会」の第十二回総会では、東京大空襲訴訟弁護団長中山武敏さんから、「特別報告」を伺ったのちに、「会」の活動経過と今後の方針などがはかられました。
 日本の政府と軍部が進めた侵略戦争として、東京は政治と軍事の拠点とされ、アメリカ軍により百回をこえる空襲を受けて、十万人以上の人々が殺され、多くの人々が傷つき、多くの子どもが戦災孤児となりました。
 一九九〇年には、二度と戦争を起こしてはならないと「東京都平和の日」条例が施行され、九二年には「東京都平和祈念館基本構想懇談会」が発足しました。しかし、九八、九九年に「付帯決議」をつけて、都と都議会は十数年にわたり条例の実施を怠ってきました。一方、都民の平和を求める運動は広まり、二〇〇〇年十二月に再び現在の「会」が発足しました。
 この日には、「高校生平和ゼミナール全国連絡センター」の生徒さん達も参加されて、沖縄での立派な集会報告集も見せていただき、十二月十八日には十七回目の平和のつどいも開くとのことです。平和憲法を手渡すべく次世代との融合は既に始まっていました。みなさまのお手元に届く、女性「九条の会」の新しいリーフレットが更に役立つようにと心から願っております。

2面〜3面

 第5回 九条の会全国交流集会「女性の会」分科会 の報告 

つながろう! 伝えよう!そして もっと拡げよう! 

女性の分科会は今年が初めての試みでしたが、家族でつくる「九条の会」や、1000名を越える規模の「地域女性九条の会」、そして解雇の撤回を求める日航の客室乗務員がつくる「九条の会」など多彩な団体が、被災地を含む東北の各地から、51団体も参加されました。本尾良さんの司会で、被災された方々への黙とうから分科会は進められ、福島の現状報告を皮切りに、各地の「会」からの報告が活発に出されました。財政上の不安や、なかなか拡げていけない悩みを訴える「会」、元気で楽しい活動の報告をする「会」、中でもジュリー(沢田研二)を迎えることができた神奈川女性の会の報告に会場は大いに盛り上がりました。
東京の江北九条の会からの、「高齢者が多く保守的な土地柄で、一軒一軒歩いて署名をとっているが〝主人に聞かないと…〟という人ばかり。戦争体験者なのに…と思いながら、あきらめず話し、署名を集めている。1日歩いて10人しかとれないこともある」という報告に、そのがんばりに頭が下がる思いでした。
 また、たくましく工夫に富む女性の力なしには地域の「九条の会」の運動は成り立たないとしながらも、女性は未だにさまざまな「差別」の中に生きていること、女性が目を開かない限り平和な社会の実現はないことを肝に銘じて、「女性」にこだわって運動を続けているという発言も多数出されました。
 最後は原発の被災地〝ふくしま〟をみんなで支え、原発のない未来をつくろうという気持ちを込めて「ふるさと」の歌を参加者全員で合唱しました。最後の部分は「山は青きふくしま・水は清きふくしま」と歌いながら、日本の原風景である美しい村や町や人々をこれ以上苦しめてはならない、戦争も核もない平和な日常を子どもたちに受け継いでいこうとの意を新たにしました。

 

 4面  おしらせなど

本のご紹介   佐藤栄佐久著  福島原発の真実  (2011.6.22 平凡社新書)

 佐藤栄佐久さんは、福島県知事在任中に、住民の暮らしを守るために国の原子力政策と真っ正面から闘ったために、身に覚えのない収賄容疑をかけられ有罪判決を受けます。しかし、「収賄額0」という前代未聞の判定となり、現在最高裁に上告中です。
 2002年8月に、福島原発において、原発の故障や損傷を隠すため、長年にわたってデータの改ざんが行われていたことが発覚します。しかもその2年前には内部告発が原子力安全保安院に届いていたにもかかわらず握りつぶされていたことも明らかになりました。
また知事就任直後には、情報の伝達を後回しにして、福島第2原発第3号機の異常を示す警報を7日間も鳴り響かせたままにしておく事件が起き、佐藤さんは設置自治体を著しく軽視する国や東電の体質に激しい怒りを持ちます。そしてこのような体質が今日まで続けられて来た結果が、3月11日の事故に繋がり、起こるべくして起こった人災だったと訴えます。
 彼はプルサーマルの話が国から持ちかけられた当初から、プルトニウムを大量に含むプルサーマルを福島に持ち込むことは、断固として反対しなければならないと闘い続け、「敵は国だ。敵を見誤るな。」と県の職員に言い、原発推進派の官僚や族議員と断固として闘います。また、国が一貫して原発を推進し、経産省の中に〝警察と泥棒を一緒に置く〟ように原子力安全保安院を抱え込むところに問題があると指摘します。
 原発を誘致した貧しい村は、原子力マネーで潤うように見えます。しかし建設した公共施設の維持費には使うことができず、それが村の財政を圧迫していくため、さらに原発マネーを当てにする
「麻薬づけ」の自治体がつくられていくことも含め、この本には国の原子力政策への怒りが満ち溢れ、読者に「この国に原発を置いてはならない」という思いを一層強くさせます。   文責 小沼

若者向きリーフ(無料・送料のみ)の内容
14条 誰でも同じ権利があるはず「女だから低賃金」なんて変!
24条 暴力は愛情の表現なんてウソ!あなたのパートナーがこんなだったら…
25条 生活が苦しいのはあなたのせいじゃない  国には、全ての人が人間らしく暮らせるようにする義務がある
96条 憲法を簡単に変えてはいけない 国民の権利を守るものだから
98条 国には守る義務がある 憲法は「最高法規」!
9条(裏面です)憲法9条が変えられたら、私たちの生活はどうなるでしょう?
 
室内楽はいかが? 
室内楽のお知らせ:下記のような室内楽の夕べが開かれます。入場料4000円のところ、
12月26日までに事務局に申し込まれた方には、入場券を500円引きの3,500円でお取り次ぎいたします。多数ご来場くださるようお待ちしています。    
         記
日時: 2012年1月7日(土)午後7時開演〈開場6時30分〉
場所:東京文化会館小ホール(JR上野駅公園口の改札を出てすぐ)
出演:チェロ 三宅進、ピアノ 崔善愛
(お二人は2012年2月25日開催の女性「九条の会」 創立7周年記念の集いに演奏をしてくださいます)