女性「9条の会」ニュース11号 2008年12月号

女性「九条の会」4周年記念集会
日野原 重明医師 9条を語る

  朝日新聞に連載中の「95歳の私あるがまま行く」でおなじみの、97歳の日野原 重明医師を講師におまねきします。 先生は「命と平和を次の世代につなげるために、9条は絶対に守り抜かねばならない」と声を大にされています。

 

ピアノの弾き語り  崔 善愛(チェ・ソンエ)さん
吉永小百合さんからのメッセージも予定されています。

 地下鉄有楽町線 新富町A1出口より1分日時     2009年3月31日(火)
      午後1時30分開演
   会場 銀座ブロッサム(旧中央会館)
     前売り券 1000円
     当日券  1300円
チケットをご希望の方は、03-5367-4671(電話)03-5367-4672(FAX)までご連絡ください。

二面

第3回「九条の会」全国交流集会

9条の輪 多彩に大きく

  社長も 市町村の首長も 宗教者も!(現在数7294)

「九条の会」は結成5年目を迎えます。11月24日、第3回全国交流集会が日本教育会館で開催され、全国から900名が参加しました。午後からは10の分散会と学生・青年、職場の分科会に分かれて交流、各地で地域や職場に根ざした創意と工夫に満ちた取り組みが紹介されました。

   事務局の小森陽一さんは、「九条の会」の拡がりによって15年ぶりに憲法を巡る世論が転換し、名古屋高裁で、イラクにおける自衛隊の活動は憲法違反という判決が出るに至ったけれども、今後はさらに、「憲法の解釈によって戦場に日本の人員を送り出すことは許さない」という国民世論を過半数にして行くために、もっともっと拡げて行こうと挨拶。
 呼びかけ人の大江健三郎さんは、「九条の会の集会に行くたびに、個人として憲法を守ろうとする人たちの確信に満ちた規範を、敬意と共に感じる。そういう人たちが拡がり、孫やひ孫まで四代にわたる伝統となれば、日本という国が国際的に平和主義を樹立するための大きな手がかりになるのではないか」と述べ、奥平康弘さんは自衛隊の幕僚長の懸賞論文の問題を取り上げ、「マスメディアはそれを格好の餌にしてはしゃいでいるが、それはともすると出口の見えない深淵に引き込まれる側面を持っている。公務員である以上、言論の自由や表現が、公共の福祉の観点から制限を受けて然るべきであるという市民の合意ができている傾向がうかがわれ、国民投票法案にある公務員の言論制限条項の布石になることを恐れる」と警告された。澤地久枝さんは、「地方の集会には子どもや若者の姿が見えるようになってきた。子や孫や嫁や夫などを誘って来ているからで、顔ぶれが重層的になってきている。静かではあっても根の生えた運動をしていきたい」と発言。

 日本国際ボランティアセンター理事山谷博史さんは、特別講演で、「今アフガニスタンはベトナム化し、一般人を敵にした戦争になっている。それは彼らが被占領意識と、国際社会に強い不信感を持つようになったからだ。しかし日本はアフガニ

スタン本土に軍隊を派遣していない。そのためにアフガニスタンの人たちの間で高い信頼を得ている。これまで日本人が犠牲にならなかったのはそういう背景があるからだ。アフガニスタン人の間に和平のための仲介ができるのは日本しかないのだと考える人たちがたくさんいる。日本は憲法9条と前文を含む平和の原理原則を持っているから、自衛隊、軍隊の派遣ではない紛争解決、その他の国際貢献ができるのだということを、前向きに、アフガニスタンで生かしていかなければならない」と述べた。

 会場報告では、現役社長3人で立ち上げたという札幌の「グリーン九条の会」の植田秀隆さんは
「経済の視点で平和を考える。戦争中のような統制
経済はごめんだ。企業の先行きを考えるためにも平和は必要」と発言。
 会場から驚きのまなざしで迎えられた「宮城・憲法九条を守る首長の会」の鹿野文永さん(元鹿島台町長)は、16名の元市町村長で会を結成し
「現在日本国憲法を改憲するための手続きが進め
られ、憲法九条を改憲する動きがあるが、憲法九条の改憲こそが市町村住民の安全・安心を脅かす最たるものである」という趣旨のアピールを発表。これを全国1800の知事を始めとする市町村長に配布し、賛同が多く寄せられていると報告。大きな拍手が沸き上がった。
 宗教者九条の会は「キリスト教、仏教、イスラム教が1つになって九条の会をつくり、教義についても話し合うことがある。2009年9月9日の9時には、教会の鐘も寺院の鐘も一斉に鳴らそうと考えている」と報告。
 幅広い層に「九条の会」が拡がっていることを印象づける集会でした。

3面

女性「九条の会」は なぜ必要なの?

女性「九条の会」の交流会は、全国九条の会のまとめの集会の終了後に開かれ、18団体が参加し
ました。事前に事務局からお願いしておいた、高齢者でつくる「ばあ九」、若いお母さんたちで
つくる「mama9」(ママックと呼ぶ)、そして「家庭生活における個人の尊厳と両性の平等」にこだ
わりたいという「福島女性9条・24条の会」の報告を皮切りに、活発に意見交流が行われました。

財政はどうしてる?
 スタート当初に賛同金を集めるのはどこでも共通していますが、その後は「年に一度、大きな催しをしてお知らせと一緒に振り込み用紙を同封する」ところと、「全く集めないでイベント(主に映画上映会)の際のチケット代やカンパ、それにグッズの販売だけで賄っている」(山梨・伊達)というところもありました。また、「会費制をとっていないので、賛同者を増やしたばかりにニュースを出し切れないでいる。個人に発送するとお金がかかるので、個人加盟なのだけれども団体にお願いしている」(高知)という悩みや 「振り込み用紙をニュースやチラシに同封するだけでは、今年はいいわ…と納入しないケースも出てくる。できるだけ足で歩いて、手渡しをして集める方法も必要だということを、今日の交流会に参加して感じた」(福島)という意見も出されました。

「女性九条の会」はなぜ必要なの?
 地域の9条の会に入っているから女性9条には入らないという傾向はどこの地域にもあるようでした。「だから福島では、プラス24条として9条の会の女性部ではないということを強調してきた」(福島)、また、「男性がリードする会では、男性たちが演説をしてしまうので、女性は割り込んでしゃべれなくなって黙ってしまう。女性が普通の言葉でどんどん話せる雰囲気が必要。そうしないと拡がらない」(柏)、「女性独自の活動のやり方というものがあるのではないかと感じている。男性ペースで進行する会では女性が活用できない。やっとの思いで参加している人も気軽に参加できるような会にしてほしいと参加申し込みのハガキに書いてきた女性がいた。大切なことだと思う」〔秋田)、「それぞれの会で女性の声が反映されるなら、特に女性の会をつくることもないのだけれど、そうもいかないからやっぱり女性の会は必要だと思う」(江尻)「男性がリーダーシップをとっている会では、女性は使い走りになりやすい。女性は自立して、平等の問題などを含めた女性固有の九条の会を全国的に立ち上げてほしいと思っている。女性が得意なことの1つとして、資金づくりをしながら活動するということがあると思う」(本尾)と活発に意見が出されました。

  会の持ち方どうしてる?
 世話人会・事務局会はほとんどの会が定期的に開催しているということでした。県の「会」では大都市を中心にその周辺の町から人々が集まっているということでしたが、場所を移動させる工夫をした方が拡がるのではないかという反省の声も出ていました。「学習会は仲間で学び合ったり、弁護士や中国残留孤児の方の話を聞いたり…。」(伊達)大きな催しでは、コンサートや絵本の朗読を組み合わせるなど文化的なものと講演の組み合わせるというのが主流となっていました。また「勉強、勉強というだけでは疲れてしまう。歌声喫茶をやってみたらとても楽しかった」(柏)。
「女性の会であっても、いろいろな声を受け入れながら拡げて行くことが課題としてあるのではないか」という声もありました。
 また、「会員が全国に散らばっているためニュースを毎月発行している。そうすることで地域で会員が活躍を始め、点が面になって行くことを期待している」(都立高校退職者)という報告や、地方の新聞社と共同でブックレット『幸せの扉』を出版した女性の九条の会・高地のうらやましい活動の報告もありました。概ね地方紙は憲法意識が高く協力的であるようです。

4面

映画のご紹介

藤原智子監督のドキュメンタリー映画「シロタ家の20世紀」
 素晴らしい映画です。憲法24条の生みの親、ベアテ・シロタ・ゴードン一家の物語です。ベアテさんのお父さんは、昭和の初め、山田耕筰に招かれて来日。世界一流のピアニストが音楽学校に来るというので大歓迎を受け、充実した日々を送っていましたが、第2次世界大戦により、ユダヤ人である一家はひどい目にあいます。
 日本・ヨーロッパ・アメリカで取材したシロタ家の物語を通して、第2次大戦と民衆の苦しみの歴史がクッキリと描かれ、映画は自然に日本国憲法の物語となります。「日本国憲法は人類の英知です」とベアテさん。カナリア諸島にある「九条の碑」も紹介されます。
 この映画は岩波ホールでの上映が終わり、藤原監督は自主上映会を進めています。貸し出し料金は10万円です。みなさんの地域で上映会をやってみませんか。

トピックス (朝日新聞から)

8月26日:アフガニスタン東部ジャララバードで「ペシャワール会」スタッフ伊藤和也さんが拉致され、遺体
      で発見される。反政府武装勢力タリバンが犯行を認めた。
9月 1日:福田康夫首相退陣を表明。自民党は5人を総裁候補に立てて遊説騒ぎ。
9月22日:自民党総裁選挙、麻生太郎氏を選出。
9月24日:麻生内閣発足。
9月25日:米原子力空母G・ワシントンが横須賀に入港し、米海軍横須賀基地に配備された。横須賀は米軍最大
        の海外軍港で、弾道ミサイル防衛に対応できるイージス艦5隻をふくむ11隻が、佐世保基地の7隻
     の艦艇とともに西太平洋からペルシャ湾にいたる海域で様々な作戦にあたっている。
9月28日:中山成彬国土交通相「日教組が強いところは学力が低い」などの発言で辞職。在任は5日間。
9月29日:麻生首相、衆議院本会議で初の所信表明演説。「日本は強くあらねばならない。 明るくなければな
     らない。景気対策を優先する」と。
10月19日:会計検査院の調べで、インド洋の給油用燃料を防衛省が国内商社2社から調達するにあたり、06〜 
               07年度の2年間で計約2億3千万円多く支払っていたことがわかった。防衛省が商社側の決済条件を
     把握しておらず、割高な代金を商社に支払った。
10月28日:麻生首相、インド洋での海上自衛隊の給油活動について、「『テロとの戦い』に日本も参加し、給油活
      動から撤収すべきではない」と。
11月 1日:田母神俊雄航空幕僚長、民間の懸賞論文で最優秀賞。論文「日本は侵略国家であったのか」で、我が
                国が侵略国家だったというのは濡れ衣などという論旨。政府見解から逸脱した言論だとして更迭され
                た直後に定年退職、12月2日退職金7千万円程度が支給された。
11月 5日:東京地裁は、前防衛事務次官守屋武昌被告に防衛装備品の調達をめぐる収賄と議院証言法違反(偽証)
               の罪で懲役2年6ヶ月、追徴金約1250万円の実刑判決。被告側は即日控訴した。
11月18日:「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」の代表幹事中谷元・元防衛庁長官ら、麻生首相に、
                アフリカ・ソマリヤ沖で多発する海賊に対応するために海上自衛隊の艦船などの派遣(現行法で)を
                要請。また「海賊取締法(仮称)」の制定を訴えた。首相は新法について前向きな姿勢を示した。
11月28日:浜田防衛相は、イラクで空輸支援活動をしている航空自衛隊部隊に撤収命令を出した。イラク復興支
                援特別措置法に基づく約5年間の自衛隊の活動はすべて終了する。04/3月〜08/11月の実績は
                810回、要員4万5800人、物資671トンにのぼる。
11月30日:臨時国会の会期延長。補給支援特別措置法改正案の成立をめざす。