女性「9条の会」ニュース1号 2005年4月号

〈1面〉

衆議院憲法調査会報告書から

 国民投票法案は、4月12日の衆議院憲法特別委員会で、民主・共産・社民が強く反対し、更なる審議を強く求めている最中に、強行採決されました。法案には多くの問題点が残っていることが、さらに明らかになった時点で強行されたのです。翌4月13日、衆議院本会議でも、場内の三分の二が与党という中で、与党のみで採決が行われました。「場内ほとんどが起立をしたかのような錯覚に陥る。採決。独裁政権のようである。選挙の恐ろしさを痛感する。」と傍聴していた弁護士の猿田さんはメーリングリストの中で表現しています。
 「投票数が40%しかない場合は20%の賛成で改憲が可能になる」「CMは、投票日二週間前まではやり放題で、金のあるほうが圧倒的に有利になるのは明らか」「教師がその地位を利用して学校で改憲の話をしてはならない」など、改憲論者にのみ有利な法律が衆議院を通過し、参議院に持ち込まれることになりました。参議院では、何としても廃案に持ち込みたいところです。連休までが大きな山場となっています。
 私たちに残された道は、まずは、参議院選で自民・公明両党に過半数を許さないこと、そして、九条の大切さを一人でも多くの人に理解してもらうことの二つでしょう。
 九条の会の活動がいままで以上に重要さを増していきます。 がんばりましょう。


  発足記者会見終わる   2005年2月23日

 女性「九条の会」は発足を知らせる記者会見を、東京代々木の婦選会館で行いました。記者の18人が参加。熱心に質問をしたりメモを取る姿がみられました。女性九条の会は、加藤周一・大江健三郎氏らが立ち上げた「九条の会」のアピールに賛同する女性の会であることを明確にしたうえで、16人の呼びかけにこたえ、当日までに678人の女性が賛同を寄せてくださいました。(現在794人) 当日駆けつけた呼びかけ人は、「女性たちは平和に敏感。津々浦々に、憲法9条を広げる活動をしていきたい。」「日本では戦後60年の間、誰も武器を持たなかったが、それはひとえに憲法9条のおかげ。女性の力を結集してもっと憲法9条を守る、平和を守ることにまい進したい」「9条と24条は表裏一体。平等なくして平和なし」、「戦後の60年間を共に過ごした憲法9条が今変えられようとしている。私たちの子や孫の時代を廃虚にすることはできない」「世界の平和が非常に大事だと仕事を通じて感じている。女性問題と9条は切り離せない。」と熱く語りました。

もっと もっと 広げましょう !

茨城県 茨城憲法を守る女性の会
山梨県 9条の会アピールに賛同する山梨女性の会  九条の会 in 山梨
静岡県 清水女性9条の会
滋賀県 憲法9条を守る安土女性の会
京都府 憲法9条を守る日向市女性ネット
奈良県 女性NARA「九条の会」  憲法愛する人の会
大分県 タンポポ保育園9条の会に賛同する親の会青森県 憲法九条つがる女性の会 
    9条を守る青森市女性の会
岩手県 「いわて女性・九条の会」
宮城県 「九条の会アピール」に賛同する宮城女性の会  乳児銀杏保育園9条の会
東京都 青梅みどり第2保育園9条の会  憲法9条を守る大田女性の会  ねりま24条の会
千葉県 戦中生まれの女たちによる『九条の会』 九条の会アピールを支持し広げる千葉県女性の会
    九条の会・千葉土建主婦の会

 

Q&A  憲法9条と国民投票法

Q 国民投票法とは?
A 国民に憲法「改正」の発議を行った後、「国民投票」によって国民の承認を得るための法案です。
この法案の問題点のひとつに、メディア規制があります。マスメディアに、国民投票に関する報道や評論を掲載することを禁止しているのです。しかも、「改正」案が発議されてから投票日までの期間を30日ほどとしてい
ます。報道規制をしいて国民の目をふさいでおいて、短期間で投票に持ち込もうというのです。
もうひとつの問題は、新しい権利(名誉権、プライバシー権、 肖像権、知る権利、環境権、犯罪被害者の権利
など)と、9条などを抱き合わせにして、一括投票を行おうとする点です。誰でも納得するおいしいところだけを宣伝してつろうとしているのです。しかし、これら「新しい権利」は国際条約で規定されているものが多く、それを批准している日本では、条約に基づく国内法で十分に対 応できるのです。にもかかわらず、抱き合わせ効果ありと判断して、国民の過半数、国会議員の9割が改憲に賛成という状況を背景に、一括投票で改憲をしてしまおうとしているのです。

Q 他に一括投票されるものはありますか?
A 「日の丸」を国旗、「君が代」を国歌とすることを「総則」に盛り込む、また個人の尊重と男女の平等をうたった
24条や、国民の生存権を保証する25条の「改正」などが含まれる可能性があります。 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、男女平等という日本国憲法の基本原理そのものを、根こそぎ「改正」してなくしてしまおうというのです。
自民党は、これらの法案を今年の通常国会で提案し、成立させようとしています。現在、状況は刻々と変化しており、今後の動きに注目する必要があります。

Q  9条のどこを変えようとしているのですか?
A 1面の衆議院憲法調査会報告書に改正案の方向がでていますが、第2項の「戦力放棄条項」を削除し、それに替わる
ものとして、「個別的、集団的自衛権を行使するための必要最小限の戦力を保持する組織として、自衛軍を設置する」という案が出され、「国民の責務」として「国家独立と安全を守る責務」も提案されています。
 改憲されたなら、「非核3原則の廃止」 「武器輸出禁止の緩和」「兵役の義務」などの方向に進むことが当然考えられ、日本国憲法の平和原則は根本から覆されることになります。

Q  政党・財界の反応はどうなのですか?
A ・民主党(岡田代表発言)「9条を改正し、多国籍軍参加の自衛隊の武力行使を容認する」
 ・公明党「9条の1、2項は守るべきだが、国際貢献への参加は明文化する」
 ・共産党「9条堅持」
 ・社民党「9条堅持」
 ・経団連の奥田会長は「集団的自衛権や武器輸出禁止三原則も見直す必要があるのではないか」とコメン
  トをしています。 

Q  国会法「改正」とは?
A 憲法改正のための「手続き法」です。現在の衆参両院の憲法調査会は、2000年に、5年間を目安に憲法に
 ついて調査する目的でつくられたもので、法案提出権はありません。そこで、最終報告書では「憲法調査会
が、引き続き憲法改正についての検討、立案、審議、議決の議論を続けるべき」が多数意見として出され、
 国会法を「改正」して、その方向に進めようとしています。その方法としての委員会の設置等については流
 動的ですが、国会法の「改正」の意向は明確です。